日本ではあまり聞き馴染みがないですが、台湾にも数多くの人気バンドが存在しています。どれも個性豊かで、世界ツアーを成功させているバンドもいるんですよ。
そこで今回は、そんな台湾の人気ロックバンドをご紹介します!
台湾を代表するロックバンド「メイデイ」や日本人からの人気も高い「宇宙人」など、7つのバンドを徹底解説してお伝えしていきますよ。

台湾在住の僕が実際に人気具合を感じたり、台湾の友人から調査したりした結果をまとめました!
台湾のロックバンドの特徴は?

日本人の間でも徐々に広がりを見せる台湾のロックバンド。どんな特徴があるのか気になる方も多いと思うので、ここでは特徴を解説します。
まず、台湾のバンドは言語の多様性があります。多くのバンドが台湾語や中国語(台湾華語)を使用し、時には英語や少数民族の言語を交えて歌うことも。これは台湾の多文化的な背景を反映しており、曲のテーマや表現したい感情に合わせて言語を選んでいることも多いですよ。

中には日本語の歌詞の曲を持つバンドもいます!
また日本のバンドにも多いですが、社会的メッセージや批判的な姿勢を持つグループも多く存在します。例えば、のちほど紹介する「Fire. EX」は2014年の「ひまわり学生運動」の応援歌を制作し、社会問題に積極的に関与したこともありましたよ。

ひまわり学生運動は、中国とのサービス貿易取り決めを巡り、学生らが撤回を求めて立法院(国会)を占拠した出来事のことです。
あと僕も驚かされたのが、台湾のロックバンドは国際的な活動にとても積極的だということ。中国語や英語を駆使して世界ツアーを行い、アジアや欧米の音楽シーンと交流を深めているバンドも多いんですよ。
台湾の人気ロックバンドまとめ

ここからは、台湾の人気ロックバンドを一挙ご紹介します。どれも台湾人の友人から聞いて挙がってきた実力派バンドたちですよ。
五月天(Mayday)
「有名な台湾バンドは?」と聞いたら、ほぼみんな一番最初に挙げるのが「五月天(Mayday:メイデイ)」です。台湾バンドの代表的存在ですね。
1999年にデビューし、アシン(ボーカル)、モンスター(ギター)、ストーン(ギター)、マサ(ベース)、ミン(ドラム)の5人で構成されています。
五月天の音楽はダイナミックなメロディを軸にした本格的なロックサウンドが特徴。時代ごとに人々の心に響く曲を作り続け、台湾のバンドブームの火付け役となりました。
デビュー直後から台湾国内で人気を獲得し、その後アジア全域で大きな成功を収めました。2003年には香港で4万人ライブを成功させ、その後アメリカ、中国、シンガポール、マレーシア、香港を巡る大規模なワールドツアーも完遂。
2012年には北京の国家体育場(通称「鳥の巣」)で2日間にわたるコンサートを開催し、なんと約20万人を動員しました・・・!
日本でも精力的に活動を行い、2013年には日本版オリジナルベストアルバム「Mayday×五月天 the Best of 1999‐2013」をリリース。2018年にもオリジナルアルバム『自伝 History of Tomorrow』の日本限定盤をリリースしました。

日本武道館でライブを行ったこともあります!
「台湾のロックを聴いてみたい」という方は、まず五月天に触れてみるのがおすすめですよ。
八三夭(831)
八三夭(バーサンヤオ)は2003年8月31日に結成され、バンド名は結成日にちなんで名づけられました。
小橘(シャオジュウ)がリーダー兼キーボード担当、阿璞(アプウ)がボーカル兼ギター担当、霸天(バーティエン)がベース担当、劉逼(リウビー)がギター担当、阿電(アディエン)がドラム担当として構成されています。

ちなみにメンバーはみんな高校の同級生同士。何か運命的なものを感じますよね~。
八三夭の音楽は耳に残る中毒性のある歌が特徴で、ロックサウンドに綺麗なテクノメロディーを融合させた独自のスタイルを持っています。
2003年の結成後は春天吶喊や野台開唱などの音楽祭で活動を開始し、インディーズ時代から五月天のキャンパスライブにゲスト出演するなど注目を集めていました。
2007年に初のアルバム『迷惑時代』をリリースし、ついにメインストリームデビュー。
着実に成長を遂げていく中で、2016年にはアルバム『鋼鉄人』で「2015年度MusicRadio中国TOP音楽盛典最佳楽団賞」を受賞し、さらに5作目のアルバム『生存指南』を発表しました。このアルバムは日本でも発売され、日本のファンにも認知されるきっかけとなりました。
また2018年には台北小巨蛋(台北アリーナ)で初のコンサートを開催。翌2019年には高雄巨蛋(高雄アリーナ)でもコンサートを行い、3万枚のチケットを即完させるほどの人気バンドに成長しました。
また日本の音楽フェスティバル「SUMMER SONIC 2019」にも初参加し、国際的な知名度も上げていきます。
同じく2019年には大ヒット台湾ドラマ「想見你」のエンディングテーマ「想見你想見你想見你」を歌い、さらに人気が爆発。

「想見你想見你想見你」は僕もよく聴く台湾バンドの曲の一つ。2024-2025の年越しにかけて行われた台北101のカウントダウンライブでもトリを飾り、めっちゃ盛り上がりました!!
宇宙人(Cosmos People)
宇宙人(コスモス・ピープル)は、2004年に結成された3人組ロックバンドです。
メンバーは小玉(シャオユー)がボーカル兼キーボード、阿奎(アークェ)がギター、方Q(ファンキュー)がベースを担当しています。3人とも建国中学の卒業生で、同じ高校の学生時代に結成されました。
バンドの音楽スタイルは多様で、ファンク、エモ、ブルース、ロックなどの要素を取り入れています。後にジャズやエレクトロニック、ビートボックスなどの要素も加え、独特の想像力豊かな音楽を作り出しています。

宇宙人自身も音楽スタイルを「とてもコスモス的!」と表現しているほど。(笑)
宇宙人の人気は台湾国内外で高く、中国、香港、シンガポール、アメリカなど世界各地でライブ活動を展開しています。日本の音楽フェス「SUMMER SONIC」にも出演したことがありますよ!
2020年2月8日には大規模会場である台北アリーナで1万人以上を動員するコンサートも成功。
実績は着実に積み重ねられ、2023年の第34回金曲奨では「最優秀バンド賞」を受賞しました。初めての金曲奨受賞で、デビューから19年目での快挙となりました。
蘇打綠(Sodagreen)
蘇打綠(ソーダグリーン)は2001年に結成されました。バンド名は「ソーダ水のような爽やかで透明感のあるイメージは自分たちの音楽性にぴったり合う」という意味で付けられたそうです。
2003年に現在の6人編成が確定し、メンバーは吳青峰(ウー・チンフォン)、謝馨儀(シェ・シンイー)、史俊威(シー・ジュンウェイ)、何景揚(ホー・ジンヤン)、劉家凱(リュウ・ジャカイ)、龔鈺祺(ゴン・ユーチー)で構成されています。

メンバーの多くは国立政治大学の卒業生で、龔鈺祺のみ国立台北芸術大学音楽研究所の卒業生です。どれも台湾の名門大学。めっちゃ頭良い・・・。
蘇打綠の音楽はボーカルの青峰から放たれる寄り添うような温かいメッセージ性が特徴ですよ。蘇打綠の歌詞は文学作品とも呼べる美しさがあり、他のバンドにはない哲学的で深いメッセージが込められています。
結成後着実に成長していく中で、2007年11月3日には音楽アーティストとして初めて台北アリーナでコンサートを開催。
2016年の金曲奨授賞式後3年間の休止を発表し、2017年1月2日に正式に休止期間に入りました。2020年7月3日には前プロデューサーとの商標権争いが発生する中、「魚丁糸」(ユーディンスー)という分身バンドを結成しました。
ただ2023年に「池堂影夜」コンサートで「蘇打綠」の名前を取り戻したことを発表し、正式に復帰しました。同年5月30日には二廳院芸文広場で「Round2」無料野外コンサートを開催し、6年前の約束を果たしました。

このコンサートはなんと3万人ものファンが集まったそうです・・・!
告五人(Accusefive)
告五人(ガオウーレン)は、2017年に結成された台湾の3人組音楽バンドです。メンバーは全員が宜蘭出身で、雲安(ユンアン)がボーカルとギター、犬青(クェンチン)がボーカル、謙哥(チェンゴー)がドラムを担当しています。

他のバンドと比較して新しく、一気に人気が爆発したことから「台湾のYOASOBI」と教えてくれた友人もいます。
バンド名の由来は、三人が法院(裁判所)の掲示板で各自が適当に指さした文字を組み合わせたことから来ているそう。感情豊かな歌詞とメロディアスな楽曲が特徴で、瞬く間に台湾の音楽シーンで注目を集める存在となりました。
2019年にはアルバム「我肯定在幾百年前就說過愛你」で金曲奨の「最優秀バンド賞」「最優秀新人賞」を含む4部門にノミネートされ、その実力を証明。

代表曲の一つ「帶我去找夜生活」は日本・東京で撮影されたことでも有名です!台湾のコンビニでもよく流れてますね~。
2024年から2025年にかけて初のワールドツアー「告五人第一次新世界巡迴演唱會【宇宙的有趣】AROUND THE NEW WORLD」も開催しています。日本公演も2024年11月22日にKT Zepp Yokohamaで行われました。
2025年4月12日には高雄国家スタジアムで5万人規模のコンサートを予定しており、今かなりアツいバンドの一つです!
滅火器(Fire EX.)
滅火器(Fire EX.)は2000年に高雄で結成された4人組ロックバンドです。メンバーはボーカル/ギターの楊大正(Sam)、ギター/ボーカルの鄭宇辰(ORio)、ベース/ボーカルの陳敬元(JC)、そしてドラムスの柯光(KG)で構成されています。
滅火器は台湾パンクシーンの先駆者として知られ、日本のHi-StandardやHUSKING BEEなどのパンクミュージックから大きな影響を受けているそうです。台湾語で書かれたメッセージ性の強い歌詞と力強いサウンドが特徴で、台湾の若者たちの心を掴んできました。
滅火器の知名度が大きく上昇したのは、2014年の太陽花學運(ひまわり学生運動)でした。この時、学生たちの依頼で制作された『島嶼天光(この島の夜明け)』が台湾を想うアンセムソングとなり、2015年の金曲獎で最優秀歌曲賞を受賞しました。
2017年からは「FireBall Fest. 火球祭」という音楽フェスを企画・主催しています。このフェスは楽天桃園野球場で開催され、毎年多くの音楽ファンを集めていますよ。
また海外での活躍も著しく、アメリカのCMJやSXSW、カナダのCMWなどの音楽フェスに参加したほか、韓国、中国、シンガポールなどアジア諸国でも積極的に活動しています。
日本との関わりも深く、MOONEYESや10-FEET、locofrank、BRAHMANなど多くの日本のバンドと交流があります。2012年と2016年にはSUMMER SONICに出演し、「Fire Fest 火球祭」でも度々日本から多数のアーティストを招聘しています。

コロナ禍に作成された曲「希望の明日」やASIAN KUNG-FU GENERATIONのメンバーとのコラボレーション曲「The Light feat. 後藤正文」など、日本語の楽曲もありますよ。
2025年には結成25年目を迎え、台湾を代表するロックバンドとして確固たる地位を築いています。台湾のアイデンティティや誇りを強く打ち出し、社会的なメッセージを発信し続けていますよ。
茄子蛋(EggPlantEgg)
茄子蛋(EggPlantEgg)は2012年に台北で結成されたオルタナティヴロックバンドです。バンドは主唱兼キーボード担当の黃奇斌(阿斌)、ギター担当の謝耀德(阿德)と蔡鎧任(阿任)の3人で構成されています。
クラシックロック、ブルース、フュージョンに加え、ストリートカラオケやポップミュージックの要素などを融合させた独特な音楽性が特徴。台湾語で歌っていることも注目を集めています。
茄子蛋は2017年にデビューアルバム『卡通人物』(Cartoon Character)をリリースし、2018年の第29回金曲奨で最優秀台湾語アルバム賞と最優秀新人賞を受賞しました。
彼らの代表曲「浪子回頭」(Back Here Again)のミュージックビデオは、2020年5月にYouTubeで1億回再生を達成する大ヒットとなりました。
茄子蛋は着実に成長し、2022年には映画主題歌「愛情你比我想的閣較偉大」で第33回金曲奨の年間最優秀楽曲賞を受賞。しかし、同年9月にボーカリストの声帯損傷により無期限の活動休止を発表し、今に至ります。

今後の復活に期待ですね・・!
レジェンド歌手「周杰倫(Jay Chou)」にも注目!
周杰倫(ジェイ・チョウ、Jay Chou)は台湾出身の歌手、作曲家、俳優、映画監督など多様な面を持ちながらも、中華圏を代表するアーティストの一人として知られています。
クラシック、中国伝統音楽、ブラックミュージック、ロックなどを融合した音楽スタイルで多くの革新をもたらし、C-POP(中国語ポップス)の発展に大きく貢献しました。
幼少期からピアノを学び、その後ギター、チェロ、ヴァイオリンなど多くの楽器を習得しました。1998年にタレントショー「Super New Talent King」に参加したことがきっかけで作曲家として活動を開始し、その後2000年にアルバム『Jay』で歌手デビューを果たしました。
周杰倫の音楽は実験的でありながらも美しいメロディが特徴で、多くのヒット曲を生み出しました。特に2枚目のアルバム『范特西』(Fantasy)は台湾のグラミー賞とも呼ばれる金曲奨で複数の賞を受賞し、一躍トップアーティストとなりました。
2022年にはアルバム『最偉大的作品』(Greatest Works of Art)をリリースし、国際レコード産業連盟(IFPI)の「グローバルアルバムセールスランキング」で中華圏歌手として初めて世界1位を獲得しました。
2024年12月5日から8日にかけては、台湾最大級規模の会場「台北ドーム」で4日間のコンサートを開催しました。ワールドツアー「嘉年華」(CARNIVAL)の一環として行われ、台北での公演は2017年以来7年ぶりとのこと。

台北ドームで単独コンサートを開催した最初の歌手になったほか、チケットは15万枚に対して89万人以上が応募する大激戦となりました。凄まじい人気ぶりですね・・・!
台湾のロックバンドを聴いてみよう!
台湾のロックバンドは、それぞれ個性豊かで日本のロックバンドでは味わえない世界観に触れることもできますよ。
台湾の音楽に興味がある方は、ぜひ当記事も参考にしつつ、お気入りの台湾バンドを見つけてみてくださいね。
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